石茶会 w/ 山フーズ

日程 / Date
2024.12.08

场所 / Place
TROLLEY(外苑前)

合作者 / Collab
山フーズ

写真 / Photo
山本康平

動画 / Video
菊地翼


AOMORI GOKAN アートフェス 2024 にて開催された「どんころ展」。
本展の東京巡回展・第一期のクロージングとして「石茶会」と題した茶会を開いた。

今回は「どんころ展」にも参加している山フーズとのコラボレーション。
“石を食べ、石を飲む“ をコンセプトに、山フーズの石菓子と茶酔の岩茶とで、石にフォーカスした茶会を立ち上げる。

石菓子は、石をそっくり模した焼き菓子だ。
まず参加者は、好きな石菓子をひとつ選んで茶席まで持って行き、これを木槌で叩き割る。

石菓子は中空になっていて、割ると中から岩茶の茶葉が出てくる。
岩茶とは福建省・武夷山で生産される、風化した岩に生育する茶樹から作られた茶のこと。
岩のミネラルを吸収して生まれる「岩韻」という味わいが特徴で、同じ品種でも育った岩ごとに特徴が異なることから “岩の性格を飲む“ とも言われる。

この岩茶を石菓子から取り出し、熱湯で煎れて飲みながら、石菓子の破片をお茶請けにかじる。
石を割り、外殻はそのまま齧り、中身は液体にして飲む。
この一連の体験を通して、石との交流を深めていく。

石に抱いている「不動」「不毛」といったイメージは、割った石をぼりぼりと齧って摂取することによって融解していく。
また、石を割って中から出てきた岩茶の茶葉は鉱石さながら。
岩のミネラルを存分に吸って生育した茶葉は、ある意味で石の結晶物なのかもしれない。

また、茶盤の上には津軽西海岸で拾ってきたどんころ(なんでもない石)が置かれている。
茶を煎れるかたわら、どんころにも湯を掛けてあげる。

これは茶酔でやっている「石茶玩」だ。

中国茶には茶玩と呼ばれる茶道具がある。
茶盤の上に置くマスコットの様な陶器製の置物で、湯をかけるためだけに存在する。
通常の茶玩は縁起物として神獣などの形をしているが、これの代わりに茶酔では石ころを使う。
拾ってきた石を茶盤の上に置き、熱湯をかけてこれを石茶玩としている。

会場内に点在するどんころの中から、何となく目に留まったものをおもむろに拾ってきて茶盤の上に置く。
湯を掛けてあげると石はもくもくと湯気を立て、その表面はがらりと表情を変える。

そして、みるみるうちに乾いていき、また元の姿に戻る。
動いていないようで、変化の絶えない石。
ある時は食べられ、ある時は煎じて飲まれ、またある時は山や大地そのもののように、ただそこに在る。

「⁠素材の属性は、客観的に決定されるものでもなく主観的に想像されるものでもなく、実践的に経験されるものである⁠」
— クリストファー・ティリー『石の物質性』

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