【略略茶酔日記】丹澤弘行
「略略茶酔日記」は、茶葉を送ってその茶を飲んだ日の日記を書いてもらう、茶葉と日記の交換企画。茶葉の名前や説明は一切伝えず、自由に飲んでもらいます。日常の延長線上でカジュアルに茶を楽しむ「現代の茶の略」の実例を収集するシリーズです。
2月26日
少し前に「茶在中」と書かれた封筒を受け取った。茶酔さんがこの日記企画のために送ってくれたお茶だ。「茶在中」という言葉、生まれてはじめて目にした。
昨日はお酒が好きな友達と、東中野でもんじゃを食べてスナックに行き、密かに練習していたBUDDA BRANDの「人間発電所」を歌ったりした。そんなんで見事に二日酔い。
不摂生をなかったことにしたくて身体に良さそうなものを探す。送られてきたお茶のことを思い出した。お茶を茶っぱから飲むような暮らしはしてこなかった。珈琲だってインスタントの粉だし、餃子も冷凍食品のばかり食べてる。皮から作ったことは、まだない。
そんなだから朝から急須を出して、お茶を淹れていると優雅に生活をしているように感じる。マグカップから立つ、熱い湯気を浴びるだけで浄化された気持ちになるし、烏龍茶と紅茶の間みたいな味がするお茶を飲むたびに酒が抜けていくような気がした。
2月28日
朝起きると喉に違和感があって、お茶を飲もうと決めた。前飲んだときは二日酔いだったし、自分はお茶を漢方か何かだと思っている節がある。でも身体にいいことは確かだよね。思ったより甘い香りのお茶をすすると、なんだか元気が出てお腹が鳴ったので米を炊くことに。
のろまな炊飯器なので、急速設定しても炊き上がるまでに40分はかかる。空腹を紛らわすためにYouTubeを漁り、K-POPアイドルがアルバイトに挑戦する番組を見る。最近こういうのが好き。映画やドラマを見るほどの気力はないんだよな〜、ってときのYouTubeチャンネル。漫画喫茶のフードの注文をとんでもないスピードでさばく姿を見ていたら、あっという間に米が炊けた。ツナ缶を開けてマヨネーズと和えてツナマヨにしてご飯を食べた。
3月10日
本屋で店番をしながら、月末にあるイベントに向けて新しいzineの準備をした。夜の静かな店は思いのほか、集中できる。作業のお供に家から持ってきたお茶を飲む。
お茶を淹れているとお客さんが来た。スペインから旅行で訪れたとのこと。彼は嬉しそうに店内を周りながら、たくさん話しかけてくれた。台湾のイラストレーターの作品が気に入ったようで買ってくれた。会計の時に「おすすめのゲイクラブはある?」と聞かれたので、知っている場所をいくつか教えてあげた。Google Mapにピンを立てながら「ここにはかっこいい子はいる?」と笑顔で聞かれたので、願いを込めて「いると思う!」と返事をした。どうか彼がいい人と出会えていますように。
満足そうな顔の彼を見送り、冷めたお茶を飲んだ。ぬるくても美味しい。ためしに氷を入れて飲んでみた。これまた美味しい。「もしかして焼酎で割ったらいいお茶割りになるのかもしれない」と閃いたときには時すでに遅し。お茶はもう残っていなかった。いつも少し間に合わない、のろまな自分の創造力。作業は無事にひと段落したので帰宅。
丹澤弘行
インディペンデントな出版ユニット(TT) pressのメンバーです、書いたり読んだりすることが好き。ギターを練習しています。東中野でplatform3という本屋もやっています。
送ったお茶たち
① 紅茶・九曲紅梅
② 岩茶・水金亀
③ 白茶・銀針白毫