【略略茶酔日記】とれたてクラブ

「略略茶酔日記」は、茶葉を送ってその茶を飲んだ日の日記を書いてもらう、茶葉と日記の交換企画。茶葉の名前や説明は一切伝えず、自由に飲んでもらいます。日常の延長線上でカジュアルに茶を楽しむ「現代の茶の略」の実例を収集するシリーズです。


2月9日

なんだかんだその週は毎日忙しくて、通常のバイトの退社後もミーティングや資料の作成や打ち合わせがあったし、土曜日には自分主催のイベントがあった。でも思い返すと、資料を作らない選択もできたかな?と思う。よくこんなギリギリで生きていて無駄な動きも多くて、会う人たちがそこそこ真摯に向き合ってくれるよなあと思う。力を抜きやすい。

2/9の夜、やっと家でゆっくりお茶を飲む時間が取れた。茶封筒の中の茶の三種類で迷う。ふつうのお茶っぱみたいなのと、ハムスターのうんこみたいなのと、ハムスターのうんことふつうのお茶っぱの間みたいなの。中国茶は茶葉1回で10煎ほど出るそうなので、もし自堕落なバタバタ生活を続けて1日1杯しか茶を飲めないとしたら、1週間同じ茶を飲むことになる。ウキウキ選びながら、既視感に気づく。

「PR案件だ…!」

PR案件の日焼け止めやパックで「フリーパレスチナ」と文字を作り投稿するのににハマっていた時期を思い出す。運動として流行らないかしらと思ったが、私しかやっていない。ハッシュタグの共有者に届く、ネット版の路上グラフィティ。逮捕の心配がないのがまた良い。とりあえず茶葉を並べてみる。

一番普通のお茶っぱっぽい茶葉を選んだ。はじめ、年上のきれいなお姉さんを思い出すような味がした。誰かに対して性的に惹かれる時って、性行為に結びつかないような、でも確実に性的/恋愛的に惹かれてはいるような、微妙な段階の惹かれ方が存在していて、その微妙で知的で柔らかい段階にはまるような、きれいなお姉さん。マルジェラの知りたくなる女的な。

後味は、ファミレスのドリンクバーの紅茶のアールグレイとかブラックファストティーみたいな感じで、ばっさりと思いの伸びしろを切られた。

2月15日

みなみさんとさっちゃんとうえまつとやなぎさんとヨモギ摘みの約束をしていたが、とれたてがドタキャンされ体質だからか、みなみさん以外のっぴきならない事情が入ってしまい、結局1日の大半をみなみさんと2人で過ごした。

松戸で14時に待ち合わせして、河川敷にヨモギを取りに行くと、なんと3日前に草刈りを実施していたそうで、あらゆる草が生えてなかった。つるっぱげの川べりは、それはそれで穏やかな光がきれいだった。代わりに、キャベツみたいな品種不明のアブラナ科らしき植物がたくさん生えていた。少しちぎって食べたら甘くてキャベツの味がしたので、葉っぱと菜の花を何枚か持って帰って茹でることにした。久しぶりにテントウムシも見た。水道に片足を怪我した鳩がいて、「この子は健康な鳩の集団にいじめられている」と近くのベンチにいたおじさんが説明してくれる。かわいそうだったが、JPOPをポータブルプレーヤー?から鳴らしながらランニングしているおじさんも足を止めて鳩に話しかけて去って行ったので、気をかけてくれる人間は多くいるようだった。

梅もふりふりと花開いていて、かわいかったし、地球温暖化が心配になる。梅の花と一緒にみなみさんの写真を撮ると、アイドルのインスタオフショットみたいでかわいかった。

南柏のとれたての家に帰宅。当初作る予定だったヨモギ餅への未練から、家の隣の商店で上新粉を購入。みなみさんは白玉をまるめるのが高速でかっこよかった。白玉ができたがさっちゃんはまだ来なさそうで、一旦ラップ。おやつに、ドーナツやカップ麺やシュークリームや飲むりんごゼリーを食べた。

茶酔さんから貰った茶葉のうち、ハムスターのうんこみたいなのを淹れてみる。

こっくり甘くて、でも色は薄くて、つい多く煮出してしまった。後味が緑茶みたい。

このこっくりな甘さはなんだっけ…と思いながら、15分くらいして金木犀かなと2人で結論付けた。さっちゃんが遅くなりそうなので、腹ごしらえに駅前のガストに山盛りポテトを食べに行く。山盛りポテト350円のクーポンを使ったが、最近ガスト高いので、かなり久しぶりの安ガスト。無料のスープはミネストローネ風だったが、トマト要素が少なく具のコーンで出汁が出ていて、ほぼコーンスープだった。ミネストローネが苦手なみなみさんには飲みやすかったらしい。

野草を積んで丁寧な暮らしな1日になるかと思いきや、炭水化物ばかり食べている。

また帰宅して、みなみさんが見たがっていた『団地のふたり』(2024、NHK)を2人で見て大笑いしたり、結局さっちゃんが来るのを我慢できずに白玉にあんこをつけて食べたりした。

遅れて20時ごろさっちゃんがやってきて、白玉の残りをあげる。3人でしばらくドラマ鑑賞し、みなみさんは終電が早く22時頃先にうちを出て、さっちゃんと1時間ほどちいかわを見た。さっちゃんはハチワレに感情移入している。私はウサギとちいかわかな。骨格ナチュラルウェーブ的な、ハイブリッド。

2月18日

みなみさんとかほぴをうちに呼んで、柿渋染めをした。南柏駅に現れたかほぴは超絶大荷物でびっくり。聞くと、かほぴのおばあちゃんが布染め名人だったらしい。尊敬の念でドキドキワクワク。南柏の素敵なマダムがやっているカフェに行ったら、ランチが終わっており、食べられるものはヨモギ餅だけだった。2日ぶりに念願が叶う。カフェは近所のコミュニティの拠点になってるようで、地元のハンドメイド作家の犬の顔のキーホルダーとか売っていた。

帰宅してかほぴの荷物をほどく。スーツケースいっぱいにおばあちゃんから受け継いだ染め道具が詰め込まれててかっこいい。

とれたてんちの折り畳み桶を開き、メルカリで買った無臭の柿渋と水を1:2で注ぐ。

かほぴがベランダに汚れ防止の新聞を敷き詰め、みなみさんが固定してくれた。早速マフラーやかほぴのサラシをつけたりする。

また、餅粉とぬかを混ぜて蒸すと糊を作ることができ、糊で模様や絵を描く「糊どめ」をした上から染めると、きれいに図が浮かび上がるらしい。蒸す前にこねた餅粉とぬかは、ピーナッツ色のうんこみたいだった。しっかり蒸すと結構水分多めでピーナッツバターみたくドロドロになってしまったので、レンチンや蓋開け加熱などで水分を飛ばした。いいところでとれたては早く返信した方がいい連絡が来てしまい、糊どめは2人だけでやっていた。みなみさんはTシャツをデコったり、とれたてんちにあったチラシでチーバくんの型を抜いたりしていた。かほぴはとれたてのドロエチ(低容量ピル)の台紙でドット柄みたいな模様を作っていた。楽しそう。

外が暗くなり液がなくなるまでありとあらゆるものを漬けたり、二度漬けしたりした。

染め道具を一通り片付けた後、余った餅粉を2人がこねて茹でて、白玉にしてくれた。私はホットケーキを作る。さすが餅粉、昨日の上新粉のレンチン団子よりもちもちで柔らかくておいしい。あんこがなくなったからきなこと砂糖醤油。先日の炭水化物過多を思い出し、冷凍のベジタリアンソーセージを2人に食べさせる。

茶酔さんから貰った最後の茶葉、普通のお茶っぱとハムスターのうんこの中間みたいな茶葉で茶を淹れて、2人に振る舞う。ふたりにたくさん飲んでもらいたいと思ってたくさん注いだら、明らかに自分の飲む分が薄くなってしまって、味があまりわからなかった。でもいい香りだったことは覚えている。

食後に『団地のふたり』(2024、NHK)の続きをみた。みなみさんとかほぴのツッコミやウケどころを感じながら見ると、とてつもなく面白い。2人が帰ったあと、我慢できずに続きを1人で見て、面白かったけど、2人と見た方が多分もっとおもしろかったと思う。

とれたてクラブ

漫画家。代表作はフェミニズム漫画の金字塔『なかよしビッチ生活』や、『祈りとスキンケア』など。最近うんこと布染めにハマっています。

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送ったお茶たち

① 白茶・銀針白毫
② 台湾・木柵鉄観音
③ 台湾・阿里山金萱


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