茶酔旅行記 — 2024年台湾【前編・台北】
台湾旅行の出発前夜。
特大サイズのスーツケースを引っ張り出してきて荷造りを始めた。
今回の旅行は5泊6日。
深夜に到着したらすぐ翌日、台北で茶会イベントをやる。
茶盤、茶壺、茶海、茶杯…
茶会に使う道具を割れないように梱包していく。
これまで色々と出展や遠征をしてきたけど、国外でイベントをやるのは初めてだ。
果たしてうまく行くんだろうか。
心配でつい荷物が多くなる。
念のため防寒具も入れていく。
台北でイベントをした後は台中に行き、茶の名産地を回る計画だ。
台湾茶の香り高さを育む、標高1000や2000の高山を思い浮かべると、フリースやインナーを用意せずにはいられない。
念には念を、トレッキングシューズも入れておく。
それからミニコンロや折りたたみバケツも入れる。
茶山を経由した後は、そのまま台南まで行くことになっている。
台南では路上で茶を煎れてみよう、というのがこの旅の最後の予定。
聞くところによると台南は、暖かくて歴史の風情があって開放的な場所らしい。
野点にぴったりだ。
国外で野点…考えただけでワクワクする。
天気予報をみると11月なのに30度あるらしい。
サンダルも忘れずに入れていく。
そうやってあれこれ準備してたら、お土産用に半分空けておくはずのスーツケースはいつの間にかぱんぱんになっていた。
出発の日はスーツケース、バックパック、アタッシュケース、トートバッグでがんじがらめになりながら空港に到着。
みんなに荷物を持ってもらって、なんとか出国した。
台北に到着。
空港から外に出ると、深夜なのに蒸し暑くて思わず半袖になる。
大荷物を抱えてホテルに転がり込み、すぐ寝た。
起きたらイベントの準備。
台北のセレクトショップ・PAR STOREに行くと、メールでやりとりしていたPeiさんが迎えてくれる。
Peiさんとはここで初めまして。
やりとりしていた通りの優しい人。
今回のイベントは、PAR STOREでZINEを取り扱ってくれたのが縁で決まったのだった。
ZINEを置いてくれて本当にありがとう。
お店のみんなが手伝ってくれて、あっという間に設営完了。
一息つくと、ちょっとだけ緊張してきた。
いつも茶酔でやってることって、果たして台湾でもやれるんだろうか。
誰も台湾語話せないし…。
茶があればなんとかなるという謎の自信だけはあったけど、それだけで遂にここまで来てしまった。
まあ茶を煎れ始めれば調子でるか、と茶を煎れてみんなで飲む。
茶が美味しいと少し安心する。
安心すると今度はお腹が空いてきた。
そういえばお昼を食べるのを忘れていた。
もうすぐ開始時間だったけど、食べに行くなら今のうちということで、運営はいったん他のメンバーに任せて、まずは自分だけサク飯してくることに。
外に出ると来た時よりもたくさんの人が歩いていてた。
朝はシャッターが閉まってたけど、あそこもあそこも店だったのか。
街が活気づいていた。
台湾の人は活動時間が遅いっぽい。
そういえばPAR STOREの開店時間も遅かったな。
なんて考えながらマックを食べてお店に戻ると、なんともう人が5人くらい入っていて茶を飲んでいる。
え、大丈夫かな、と思ったのも一瞬、みんな楽しそうに茶を飲んで話しているいつも通りの光景だった。
聞こえてくるのは台湾語や日本語の断片、身振り手振り、あとは茶でなんとかなっているっぽい。
自分も入っていって挨拶してみんなと茶を飲む。
そこからはひっきりなしにお店に人が入ってきて一緒に茶を飲んだ。
台湾の人も日本の人もいて、通訳してもらいながら話す。
台湾の人にとっても、茶を飲むのはかなり年上の人の文化らしく、こうして本格的に茶を飲むのは初めてだという人がほとんどだった。
むしろ圧倒的にコーヒー派らしい。
茶の国というイメージを勝手に持っていたけど、なんだか状況的には日本と似ていてるところもある。
日本語がまったく通じないときも、ZINEを見せながらジェスチャーで話をする。
言葉が通じない分、子供に戻ったような気持ちで、プリミティブになる。
ZINEのマンガに出てくる水金亀という茶を煎れる。
マンガなら亀が茶に変身したという伝説もわかるし、漢字も通じる。
いざ、熱々の水金亀を飲むと美味しくて、また子供みたいに盛り上がる。
こういうことのためにZINEを作ったんだなと染み入る。
あっという間に時間になり、茶を飲みながら片付け始める。
みんな口々に「うまくいってよかったね」といいながら撤収作業する。
やっぱりみんな不安だったんだな。
安心したらまたお腹が空いてくる。
夕飯はお祝いの気持ちでみんなで火鍋を食べた。
明日は足つぼマッサージに行く約束だけして、その日はぐっすり寝た。
【中編・台中】はこちら
茶酔旅行記 — 2024年台湾【中編・台中】