茶酔旅行記 — 2023年中国【前編・杭州】
羽田空港から上海まで3時間。
厳重な検査を通ってやっと中国に着いたと思ったら、そこからさらにバスで2時間ほど南西へ。西湖という大きな湖のほとりにある古都・杭州に到着。
ここは中国茶の中でも最高級緑茶と名高い龍井茶(ロンジンちゃ)の産地。目的地の龍井村は、若者でごった返す市街地から西湖を隔てて反対側に佇んでいた。
街とは打って変わって穏やかな山村に一面の茶樹。
区画を分けて管理者の看板が立ち並ぶ、共同の茶畑がひしめいていた。
初めて中国茶生産地に来た感慨と興奮とで自然と歩みが速くなる。
どんどん進んでいって気づいたのは、奥に行けば行くほど、管理の行き届いた本当の茶畑が出現してくること。
秋なので緑茶は時期ではないが、そんな中でも一目見てきれいだとわかる区画には、手入れをする人の姿がちらほらと。
きれいな茶畑の店は、良い店に違いない。
区画の看板には茶葉問屋の名前が書かれていた。市街地での行き先が増えた。
杭州の市街地に戻ってきて直行したのが茶葉問屋が立ち並ぶ茶葉一条街。
こうした場所は中国では「茶城」と呼ばれていて、どこもかしこも茶葉屋さんだらけ。
いわばアメ横が全部茶葉の店になっているようなディープな楽園です。
この茶城での茶葉買い付けが、今回の旅の前半の佳境でもありました。
茶城周辺は路面も茶葉の店だらけで、ある意味異様な光景。
絶対にここが茶城だ...。
いざメインの建物に入ります。
立ち込める茶の匂いにテンションが爆上がりしますが、とにかく観光客向けの店はスルー。
私は全く中国語が話せないので、ある意味で格好のカモ。
まずは見極めに全フリします。
会話は翻訳アプリと身振り手振りだけが頼り。
事前にもらったアドバイスでは「欲しいものを明確に言った方がいい」と教えてもらっていたので、かなり具体的に想定会話を用意。
緑茶で有名な杭州ですが、緑茶の時期ではなかったので、今回は目当てを紅茶に加工したものや白茶に絞ります。
ローカルの人々が立ち寄る店を見つけ、ここだ...と確信。
もうなりふり構わず、「你好!」と大きい声で堂々と挨拶して入っていく。
さすがに声が大きすぎて笑われましたが、むしろ大成功。
明確にお願いした茶葉から試飲させてもらい、様々な茶葉に話が展開。
無事、欲しい茶葉を納得して買うことができました。
言語能力も大事ですが、それと同じくらい人柄や、茶への真剣さ・パッションが必要でした。
出川哲郎の英語を心に宿しました。
ちなみに翻訳はChatGPT-4が一番正確でした。
こうして先人のアドバイス、最新の技術、古のコミュニケーション術で乗り切った、はじめてのおつかいでした。
後編はこちら
茶酔旅行記 — 2023年中国【後編・武夷山】