岩茶とは —— 岩のミネラルを感じる皇帝献上茶
岩茶とは中国・福建省の武夷山で採れるお茶で、武夷岩茶と言ったりもします。主に烏龍茶が多く、紅茶もあります。
その名の通り、風化した岩に根を張っている茶樹から採れたお茶です。
「岩に生えている」と聞くと、コケのようなものを想像されるかもしれませんが、岩茶の茶樹は岩山に垂直にしっかりと根を張っています。岩からミネラルを吸った岩茶には、土栽培にはない、岩栽培ならではの透き通った味わいと独特の風味があります。
岩茶はかつて皇帝の病を治したことから皇帝専用のありがたいお茶とされ、高級茶としても知られています。
中でも武夷山の中の特別な場所で育てられる、あるいは自生する茶葉で作られた岩茶のことを「正岩茶」といって、低級なものやニセモノと区別しています。
奇岩がそびえる武夷山と岩の味
武夷山は “三十六峰九十九岩” といわれていて、地殻変動によって隆起した奇岩が織り成す複雑な地形がお茶の栽培に最適とされています。
武夷山は武と夷という兄弟仙人が拓いたという伝説も残っており、これが名前の由来となっている神秘的な場所です。
岩茶は岩の性格を飲むものとされています。
有名な産地は名前がついており、同じ品種の岩茶でも産地の岩が変われば味わいも変化します。
緑色の部分は「風景区」という観光スポットです。
例えば岩茶の代表的な品種である肉桂は、場所によって牛肉(牛欄坑)、馬肉(馬頭岩)などと俗称されたりします。
特に人気の産地は三坑両澗(さんこうりょうかん)、三坑両澗二窠(にか)と呼ばれたりします。
岩韻 "岩骨花香"
岩茶の独特の味わいや風味は「岩韻(がんいん)」と呼ばれています。
この複雑な味わいや香りは、カフェイン、テアニン、カテキンなどのお茶の成分にくわえ、岩に含まれるカルシウム・ナトリウム・カリウムなどの様々なミネラルが作り出しているものです。