ジャスミン茶とは——茶葉に茉莉花の香りを移した「花茶」
ジャスミン茶とは、ジャスミンの花で香りづけしたお茶のことです。ジャスミンの花がそのまま入っているわけではなく、茶葉に花の香りを移したものなのです。
ベースとなる茶葉はほとんどが緑茶。緑茶のフレーバーティーの一種と言ってもいいかもしれません。
美味しいジャスミン茶は「美味しい茶葉を使っている」「丁寧に香りづけしている」という2つがポイントになります。
ジャスミン茶の茶葉
ジャスミン茶と聞くと、ジャスミンの花を直接抽出したお茶のように聞こえますが、実際にジャスミン茶の茶葉にジャスミンは入っていません。花の香りだけが茶葉に移されています。
茶葉そのものは緑茶であることがほとんどです。地域によって、ウーロン茶や白茶を使うこともあります。
美味しい緑茶がベースになっているジャスミン茶は、当然美味しいものになります。
逆に、あまり質の高くない緑茶も、香りづけすれば飲めるようになるとも言えます。そのため、ジャスミン茶は中国では北京など、あまりお茶がとれない北部で飲まれることが多いです。緑茶の全生産量の約75%がジャスミン茶になっていて、消費量も中国一のお茶です。
香りは茶葉に移すだけ
ジャスミン茶の香りは、ベースになる茶葉にジャスミンの花を混ぜて置いておき、茶葉が香りを吸ったら花を取り除く、という作業を繰り返すことで定着していきます。
この工程の回数の多さによって、ジャスミン茶の等級が決まってきます。
高級なジャスミン茶の製茶工程は “三窨一堤”(さんいんいちてい)や “五窨一堤”(ごいんいちてい)などと呼ばれます。
三窨(さんいん)とは、緑茶に花の香りを移す工程を3回繰り返すという意味で、
一堤(いちてい)とは、最後に少し花を混ぜることです。
花を取りかえる回数を “窨次”(いんじ)といって、窨次が多いほど高級になります。
高級品のジャスミン茶は七窨や八窨などと書かれています。
また、花も開花したものではなく、咲く前の蕾が最も香りが良いとされています。
当天花:日が昇らない早朝に摘み取られる蕾
白花:開花した花
当天花と呼ばれる蕾の状態に香りが閉じ込められているため、開花した後のものよい良いとされています。
香りの付け方は、摘んできたジャスミンの花の蕾を下に敷き、その上に茶葉を広げます。ジャスミンが開花して香りが立ち上り、その香りを緑茶が吸います。香りを出し切ったジャスミンは捨てられて、また摘まれたばかりの新鮮なジャスミンが新たに敷かれる、という工程を繰り返します。
反対に、低級なジャスミン茶では化学香料による香りづけがされることがあります。味わいや香りはやはりオーガニックなものには劣りますが、大量生産品では生産効率が良いためトレードオフとなります。
ジャスミン茶の煎れ方
おすすめの煎れ方はベースの茶葉に合わせるのが基本です。大半のジャスミン茶は緑茶ベースなので、ここでは緑茶の煎れ方で紹介します。
茶葉は150ccに対して5gほど。
沸騰したお湯を冷まして70℃に。お湯の温度が下がる間に、茶器を温めておく。
急須に茶葉を投入し、冷ましたお湯を注ぐ
蒸らし時間は30秒ほど。2煎目以降は1分にしたり、湯の温度を上げたりして調整する。
茶器を温めておくなど、基本的は中国茶とあまり変わりませんが、緑茶なのでお湯の温度が低いことがポイントです。